月に1冊ペースと読書量が激減しすぎですが、2020年、31冊目の読書感想です。
十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫) [ 綾辻 行人 ]
十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!’87年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。
内容紹介(「Book」データベースより)
読書量が激減したと言っても、読みかけの本や積読になっている本は結構あるのです。
でもここ数ヶ月は、頭を使う本や知識を得るための本、小説であっても感情移入してめちゃ心揺さぶられる!みたいな本は何だかハードルが高くて・・・。
もっと単純に娯楽として、頭や心を無にして楽しめるようなものを久々に読みたいな~という気分で、そういうときはミステリーだよな!と、本格ミステリー作家の代表格とも言える綾辻行人作品を初めて手に取ってみました。
デビュー作でもあるコチラ「十角館の殺人」は1987年と40年近く前の刊行!
もはや古典的名著の域でしょうか?
本格ミステリーってこれか
ミステリー小説を読むのは好きなので、ちょいちょい手に取りますが、あんまり「ミステリーのジャンル」って意識して選んだことないんですよね。
本格ミステリー・社会派ミステリーとか、警察小説・探偵小説とか、ハードボイルド・イヤミスとか、粒度もレベルもいろんなジャンルの呼び方があって、それ自体が議論のテーマになるくらい、ミステリーのジャンルって奥深いみたいですが、私的には面白ければオールオッケーなので、「このジャンルのミステリーが好き!」みたいなこだわりも特にありません。
で、よく聞く「本格ミステリー」なるジャンルですが。
そもそも。
「本格」って何やねん。
って感じですよね。
ミステリーに本格と本格じゃないものがあんのかよと。
でも、この「十角館の殺人」を読んで。
あ、こういうのが「本格ミステリー」というジャンルなのね。
とようやく腑に落ちました。
何かって、ようするに「謎解き」がメインってことですかね。
え?解釈が雑すぎる?
設定の非現実感とか、罪を犯す動機の弱さとか、展開のムリヤリ感とか、そういうのはとりあえず目をつぶって、とにかく謎を解いていくドキドキハラハラ感を楽しむジャンルなのね。と私は解釈しました。
あ、でも綾辻行人さんは正確(?)には「新本格派」なるジャンルの作家らしいです。
(ますますわけが分からない)
王道の設定で楽しむ1冊
で、この「十角館の殺人」。
大学のミステリー研究会に所属する7人が孤島を訪れ、本土との連絡が絶たれる中で一人、また一人と殺されていく・・・。
犯人は7人の中にいるのか、それとも誰もいないはずの島内に他の人物がいるのか?
緊迫の7日間を終え、明らかになる真実は・・・!?
てな感じの、こう言っちゃアレですけど、めちゃくちゃありがちな設定です。
でさ、「大どんでん返し」とか「衝撃のラスト」とか謳われているからさ、まぁいろいろ「次はこういう展開じゃないの?」とか「この人が犯人じゃないの?」とかこっちも先回りして考えながら読みますよね。
でも・・・。
ことごとく外れたよね。
思いもよらぬ形で最後は決着しました。
えー!!とビックリするというより、「・・・あれ?どういうこと?」と思わずページを戻して読み返してしまう感じ。
あれ?私どこから読み間違えてたんだっけ?としばらく考えちゃいました。
要するに。
まんまと騙されましたわ。
ということですね。
タイトルにもなっているように「十角館」という十角形の建物が舞台になっていて、その建物の形状を利用したトリックなのかな~なんて思って読み始めたのですが、もうそういう先入観で読み始めちゃった時点で著者の思うツボだった気がします。
読みながら(読む前から?)自然とミスリードされていき、最後にあっと言わされるようなこういう展開のミステリーを「叙述トリック」って言うんですね・・・。
勉強になりましたわ。
身をゆだねる楽しみ
ということでですね、まぁストーリーとしては見事に騙されたんですけど、でも読んだきっかけどおり気楽にワクワク楽しめたので、満足度はなかなか高い読後感となりました!
すっごくライトでサラサラっと読めちゃうんですけど、その騙され感が痛快で、でも不快感や後味の悪さもなくて、まさに「娯楽として読むミステリー」としてはうってつけの1冊だなと思いました(*‘∀‘)
こういうミステリーは気負わず、身をゆだねて騙されてしまうのがやっぱり楽しいですよね♪
んで、叙述トリックものと言われる小説をいろいろ読みたくなったよ・・・。
しばらくは、ミステリ―メインで読んでいこうかなと思います。
以上、【十角館の殺人】読書感想でした!
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