小説なのか、寓話なのか。【億男】川村元気

小説
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2020年、13冊目の読書感想です。


億男 (文春文庫) [ 川村 元気 ]

映画プロデューサーであり、小説家であり、脚本家であり、映画監督であり、そして絵本作家でもある(Wiki情報より)川村元気さんによる、「お金と幸せの答え」をテーマにした小説。

だそうです。
今回ちょっと辛口レビューなので、川村元気さん好きの方はご遠慮ください(;’∀’)

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小説なのか、寓話なのか

こちらの「億男」、2018年に佐藤健さん主演で映画化もされていますよね。

カフェに置いてあった少し古い雑誌で、「億男」の映画化に寄せた川村元気さん&佐藤健さんのインタビュー記事を読み、「お、面白そう♪」と思って手に取りました。

失踪した弟の残した借金を肩代わりしたことで、妻も子も失って働きづめの毎日を送ることになってしまった一男が、ひょんなことから宝くじで当てた3億円を手にすることに。
不安を感じて学生時代の親友である九十九(つくも)に相談したところ、九十九が3億円とともに消えてしまう。
立ち上げたベンチャー企業を大成功させ、巨額の富を築いているはずの九十九がなぜ3億円を持って消えたのか?その謎を追って、九十九のかつての仕事仲間たちを訪ね歩いているうちに、「お金と幸せの答えとは?」を考え始める一男・・・。

てな感じのストーリーです。

なかなか面白そうでしょ?

そう・・・確かに面白かったです。
先が気になってどんどん読み進めてしまいました。

・・・が、途中から。

あれ?これ、小説じゃなくて寓話じゃね?

とハタと気付きまして。
あれ?ひょっとして、周知の事実ですか?

迷える子羊と天使という構図

「寓話」で検索すると、「教訓的な内容を、他の事柄にかこつけて表した、たとえ話」と出てくるのですが、まさにそんな感じなんですよね。

とにかく徹頭徹尾、

  • 迷える子羊(一男)
  • それを導く天使たち(九十九、九十九の仕事仲間、一男の妻)

という構図で描かれていて。

一男が会いに行った九十九のかつての仕事仲間たちが、それぞれの「お金」観を語るのですが、それを読んで「あぁ、お金っていろんな捉え方があるのね」という感想ではなくて。

手を変え品を変え、同じこと言ってるだけだな・・・。

と感じてしまった私。

つまり、「小説」という体裁で、著者の思う「お金と幸せの答え」をいろんな人に語らせているだけと言いますか・・・。
そして結局何が言いたいのかも最後までよく分からなかったよね。テヘペロ。

えー、一言で言い表しますと。

説教くさいなー。

という感じなのであります。

なので、ストーリーとしての面白さや、語られる「お金」観への興味深さよりも、その説教くささに辟易してしまって、私はあまり楽しみ切れませんでした。
設定自体は面白く、文章もテンポが良くて読みやすかっただけに、ちょっと押しつけ感が残念な1冊。

でも、川村元気さんはもともとそういった「寓話的な小説」を書く方みたいなので、そこは私の完全なる予備知識不足でもありましたね。
この本を純粋に「小説」だと思って手に取ったのが間違いでした(;’∀’)

「小説」として楽しむ本ではないので、手に取る方は気を付けてー!!

寓話が苦手なの

とは言え別に「寓話的な小説」が悪いわけではなく、あくまで好みの問題で。

いろいろ思い返してみると、私はビジネス書であれ自己啓発書であれ「寓話」の体裁で語られるものが苦手なんだなということに気付きました。

大ヒットしたこの辺りの本とか。

 

最近の本だと、この辺りとか。

どうしても素直に読めなかったもんね。

書いてある内容云々よりも、著者自身の語り口ではなくて、登場人物に会話をさせながらひとつのテーマを語るというそのスタイルがどうしてもなじめなくて。
途中で投げ出した本もあります・・・。特に翻訳ものってそういうのが多くないですか?

今回この川村元気さんの本を読んで、「寓話が苦手」ということを自覚できたという意味では、読む価値はあったような気がします(;’∀’)

でも次はもっと世界観にどっぷり浸かれる「ザ・小説」が読みたいよー!!

以上、【億男】読書感想でした!

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