人生いろいろ、裁判もいろいろ。【裁判長!ここは懲役4年でどうすか】北尾トロ

ノンフィクション
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2020年、17冊目の読書感想です。


裁判長! ここは懲役4年でどうすか 【電子書籍】[ 北尾トロ ]

※電子書籍版しかリンクが出ませんでした。

フリーライターの北尾トロさんによる裁判傍聴記です。

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裁判もいろいろなのネ

この手の本としては(どの手の本だよ)異例の売れ行きとなり、続編も出版されている北尾トロさんの裁判傍聴シリーズの1冊目。
「裁判長!」シリーズとも言うそうな。

「裁判の傍聴記」と言っても、ジャーナリストとして、とか、社会的な使命に駆られて、とかそういうんではなく、もうほんっとーに野次馬根性&興味本位に徹したお気楽裁判傍聴記録なんであります。
なんたって、元々は「裏モノJAPAN」という超キワドイ感じの雑誌に連載されていたものですからね!
画像検索してみたら、品行方正をモットーとする(え?)当ブログには表紙の画像リンク載せるのがはばかられるくらいのキワドサでした(;’∀’)

んで、図らずもこの直前に読んだのが、「無罪請負人」と言われる弘中惇一郎弁護士の著作でして。
カルロス・ゴーン氏の弁護人を務めていた方です。

思いがけず「法廷モノ」が2冊続いたのですが、注目度も高く、検察を相手にバチバチ火花を散らす苛烈な裁判を数多くこなしている弘中弁護士の著作の後に本書を読むと・・・。

マジ、落差がハンパねぇ。

というのがまず感じたことですね。

いやー、裁判もいろいろなのね。

本書で取り上げられている事件のスケールは様々なんですが(窃盗などの小さな事件から、詐欺、殺人、そしてオウム裁判に至るまで)、な、何と言いますか、人間味が溢れすぎていて・・・。

事件の内容もそうなのですが、弘中弁護士側の「政治家や実業家などの著名な被告+切れ者弁護士」という眩しいような組み合わせと異なり、本書で登場する被告たち(居眠りしたり、支離滅裂な言い訳を繰り返したり、殺人事件の被告なのにドクロマークのスウェット着て出廷しちゃったり)も、そして弁護士たち(国選弁護人で明らかにやる気がなかったり)も、ある意味悲しいほどに人間くさいんですよね。

弘中弁護士の著作を読んで気が引き締まった後に本書を読むと、途端に気が抜けてまったりモードになること請け合いです。

そんな両極端な2冊ですが、どちらも普段無縁と思い込んでいる「裁判」とか「法廷」なるものをグッと身近な視点に引き寄せるという意味では、めちゃくちゃ有益だと思いました。

明日は我が身の切実感

傍聴されている裁判の当事者たちは当然ながら人生がかかっていて必死なわけですが、本書は他人のプライバシーのぞき見的な無責任モード全開で。

これ、あまりに不謹慎じゃない?と問われたら。

うん、めちゃくちゃ不謹慎だね。

と断言できる内容ではあります。

私は裁判の当事者になったことがないのでまだお気楽に読めますが、裁判で苦労した経験のある方はもしかしたらちょっと不快になるやもしれません・・・。

なので、面白いは面白いんですが、腹を抱えて「ウケる〜!!」という感じではなくて(当たり前じゃ)、どちらかと言うと我が身に置き換えながら身をつまされるような気持ちで私は読みました。

弘中弁護士の著作と異なり、市井の人々が犯した犯罪の裁判なだけに、他人事とは思えないんですよねぇ。

  • 順調だったはずの人生が、障害を持った子供が生まれたことをきっかけにズルズルと不幸のスパイラルにはまってしまい、結局妻子も仕事も失い窃盗を繰り返すようになってしまった男性。
  • 家庭内暴力に追いつめられた末に、我が子を殺めてしまった母親たち。
  • 早朝のガラ空きの道路でスピードを出して車を走らせていたら、バイクと衝突して相手を死なせてしまった男性。

エトセトラ、エトセトラ。

どれもこれも、

明日は我が身かも・・・?

と思わずにはいられない内容で。
いくらなんでもそりゃねーだろって事件もありましたけどね。

ほんの一歩踏み間違えるだけで、自分が法廷に立っている側になってしまうかもしれない。
人生ってどこに落とし穴があるか分からない・・・。

という感じで、当事者意識を持って「裁判」というものを捉えられるようになるのが、本書の醍醐味とも言えましょう。

弁護士もいろいろ

で、もうひとつ身につまされたのが、弁護士の能力もやる気もいろいろってところでして。

もちろん皆さん難関の司法試験を突破して弁護士になっているわけですが・・・。

かたや弘中弁護士のように話題性のある事件を次々と弁護するような(ある意味)キラキラしたキャリアを築いている弁護士もいる一方で、国選弁護人としてチンケな事件を担当して報酬欲しさにダラダラと審理を引き伸ばすような弁護士もいる・・・。

なんか・・・。

サラリーマンの世界と変わんねーな。

と思った私。

サラリーマンの中には、超絶ハイスペックでバリバリ仕事ができる人もいれば、頑張ってるのにカラカラと空回りしちゃってる人も、給料泥棒に甘んじて会社にしがみついているだけの人も、いろいろいるわけで。

そりゃー弁護士だって、法廷マシーンではなくて人間だから能力に差はあるし、弁護士になってみたものの「あ、やっぱ向いてねーわ」ってなる人もいますよね。

サラリーマンとして「できない側」にいる私としては、この「できない側」の弁護士に自分を重ねてしまって、

そ、そんな「こいつ使えねーな」っていう視線向けないでー!!

と、いたたまれない思いになりました。

とは言え、弁護される側から見ると、有罪になるのか無罪になるのか、執行猶予がつくのかつかないのか、刑期が長くなるのか短くなるのか、人生かかった裁判なわけで。

それが弁護士の能力に左右されちゃうのかよ!

ってのはあるので、やっぱり人生を左右する裁判に関わる弁護士は、皆さん優秀であって欲しいですよね~。

しかし、そういう弁護士の能力ってどうやって見極めたらいいんですかね。
いざ必要となったときには、のんびり情報収集なんかできなさそうですもんね。

日頃からリサーチすべき?
口コミサイトとかあるの?

などといろいろ気になってしまった私でありました。

まとめ

そんなこんなで、俄然「裁判」が身近に感じられるこの1冊。

北尾トロさんの他の法廷モノも読んでみたいと思います♪

 

以上、【裁判長!ここは懲役4年でどうすか】読書感想でした!

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