中年サラリーマンに寄り添う。【女も、不況?】酒井順子

エッセイ
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2020年、10冊目の読書感想です。


女も、不況?【電子書籍】[ 酒井順子 ]

出版年が古いからか、電子書籍版しかリンクが出ませんでした(;’∀’)

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オラ、酒井順子ファンなのだ

酒井順子さんの著作は、こちらに続いて今年2冊目です。

酒井順子さんと言えばやっぱりいまだに「負け犬の遠吠え」のイメージが強いのですが、時が過ぎるのは早いもので2003年の出版からもう17年。
もはやその後の著作は、数えきれないくらい出版されてますよね。

自虐的でクスッと笑える内容ながら本質を捉えた文章が好きなんですよね〜。
酒井さんは「独身子ナシ」という肩書き(?)でアレコレ書いてるわけですが、そういう文章って「私はどうせ○○ですから〜」と自虐的なオブラートに包みながらも、どこかで逆サイドの立場の人を憐れんだり軽んじたりしているのを感じてしまうものも結構あって。

でも酒井さんの文章にはそういう不快感がなくて(感じ方は人によると思いますが)、私は結婚も出産もしていて立場は違うのですが、共感できる部分がすごく多いのです。

私はこうやってブログを書いたりするときに分かりやすく「ワーママ(ワーキングマザー)」というラベルを自分に貼ってるんですが、でも人ってそんな簡単にひとつのラベルで表せないですよね。
確かに私の肩書きはワーママですけど、仕事中はマザーではないし、子供といるときはワーカーではない。よく考えると「ワーママ」である(=ワークとマザーを同時進行している)瞬間なんて存在しないわけで。
その時々によって、母であり会社員であり女性であり妻であり・・・、そのバラバラの要素の集合体が私という人間なのです。

酒井さんの文章は、そんなたくさんのバラバラな要素のどこかに必ず引っかかるというか、私の中の「女性である部分」が共感できる文章もあれば、「老いに向かい始めた微妙な年頃である部分」や「あくせく働く会社員である部分」が共感できる文章もあり。

そういった「こちら側」「あちら側」みたいに二元的に世界を分断せず、その時々で臨機応変に立ち位置を変えた文章に「あ、あっちもこっちも同じなんだな」と気付かされることも結構あるんですよね。

そんな「共感」と「気付き」をちょうど良いバランスで得られるのが、酒井さんの著作の魅力だと私は思っています。
著作をもれなく読み込んでいるわけではないのでコアとは言いがたいですが、「酒井順子ファン」をあえて名乗らせていただきたい(*´▽`*)
オリーブ世代じゃないけどね! ←意味通じる?

そんなわけで(ちと熱く語りましたが)これまでもちょこちょこ著作を読んできてはいるのですが、今年はふと「酒井さんの本を読破してみよう」なんて年始に思い立ちまして。
この本もそんな経緯で手に取りました。
んが、改めて調べてみて、著作の多さに気付き呆然と立ち尽くしている私・・・。

中年サラリーマンに寄り添う

つーわけで前置きが長くなりましたが(え、前置きだったの?)、今回手に取った1冊は週刊現代で連載しているエッセイをまとめたものです。
この週刊現代での連載は2004年に始まって、なんとまだ続いてるそうですよ!!連載を書籍化したものも既に13冊出版されているとか(2020年現在)。

こちらはシリーズ4作目なので、こんな長期連載ともなるとかなり初期の1冊と言えますね。
2007年〜2009年にかけて連載されていたものを書籍化しているので、つまりかの2008年リーマンショックの前後ということで、タイトルの「不況」という言葉はそこから来ていると思われます。

で、連載元が「週刊現代」ってとこがポイントですよね。

おそらく読者層の大半は中高年の男性。しかもバリバリ稼いでるエグゼクティブ層ではない、市井のサラリーマンというカテゴリに属する方々でありましょう(失礼な言い方やな)。

酒井さんの著作は「女性目線」で「そうそう!」って感じるものも多いイメージですが、こちらはそんな週刊現代の読者層を意識してか「女性的」な側面はかなり抑えられていて、どちらかというと「中年」に立ち位置を置いたエッセイという感じ。
うまいこと読者層に寄り添っているな~と思います。
サラサラッと書いたライトなエッセイのようでいて、その辺りがやっぱりプロの文筆家は違いますよね。なぜにウエメセ。

そして、その立ち位置で語られる悲喜こもごもが、まさに「中年世代に足を踏み入れた、しがないサラリーマン」である私に響くこと、響くこと・・・。

お腹の出たオジサンなんていなそうな、皆が優秀であろう会社に感じるいたたまれなさとか、リーマンショックで外資系企業が凋落したことにドメスティックな人間が感じる隠しきれない嬉しさとか、久々にテレビで見た元スターの老化具合を見てニヤついてしまう心理だとか。

知人との会話ではなかなか出せないような微妙な黒い心理をサラッと軽いタッチで書いていて、共感しつつもちょっと心の中を見透かされたような気持ちにもさせられる1冊でした。

今だからこそシリーズ読破!?

この週刊現代の連載を書籍化したものは数年前にも何冊か読んだことがあるんですが、そのときは「面白いな~!分かる~!」くらいの感想しか抱かなかったような気がするんですよね(読書録をつけてなかったので記憶が曖昧ですが)。
そう、当時は「中年サラリーマンに向けたエッセイ」なのだということは全く考えもしなかったのです。

なぜかって?

そりゃまだ若かったからだよね!

今回初めてその事実に気付いて、それって自分が中年サラリーマン側に立ったからなんだなと思い至った私。
同じジャンルの本でも、年齢が変わるとまた読み方が変わるものだなぁとなんだか面白く感じました。

そしてそんな年齢になった今だからこそ、既読のものも含めて改めてシリーズ読破に挑んでみたいと思うところ。


次の人、どうぞ! [ 酒井 順子 ]

まずは最新刊のこちら?

精力的に読んでいってみたいと思います♪

以上、【女も、不況?】読書感想でした!

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