2020年、8冊目の読書感想です。
未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書) [ 河合 雅司 ]
内容紹介
一時期すっごく話題になっていた本ですが、遅ればせながら読了しました。
「人口減少社会」と言われるようになって久しいですが、人口が減っていくということは具体的にどんなことが起こるの?というのを、タイトル通り「年表」形式で時系列に沿って示している1冊です。
結局のところ「少子化」だから「人口が減少していく」わけですが、その結果、
- 社会の活力が失われる
- 働き手が不足する
- 少数の若者で多数の高齢者を支えることになる
などといった影響があることは、これまでもメディアや書籍で散々喧伝されていますよね。
この本では、上述のようなフワッとした(自分事とは考えにくい)社会問題として提起するのではなく、自分たちの生活に直結する部分が一体どうなってしまうのか?を具体的に示しているという点で、ゾっとさせられるというか「人口減少ヤベーな!!」と自分事として捉えざるを得ない内容になっているのです。
人口減少は静かなる有事
何がヤバいって、結局、
少子化
↓
働き手がいない
↓
社会制度もインフラも国防も治安も維持できない
(お金の問題もあるけど、そもそも対応する職員が確保できない)←ココポイント。
↓
普通の生活もままならなくなる
っていうことなんですよね。
「働き手」って言うとなんとなく民間で働く人を想像しちゃいますが、勤労世代がいないということは、
- 公務員も足りない
- 警察官も足りない
- 自衛官も足りない
- エトセトラ、エトセトラ・・・
と、公的な仕事に従事する人も減少していくことになるわけです。
そうすると何が起きるのか?はぜひこの本を読んでいただければと思いますが、えー!そんなところにも影響が出るのね!! という意外な側面がズラリと並べられていて、暗澹たる気持ちにさせられます。
前書きで「静かなる有事」と書かれているんですけど、ほんとにその通りで、このまま静かに日本という国は滅んでいくのかもしれないですね・・・。
知識として、と言うより危機感を共有すべきという意味で、日本国民であれば読んでおいた方がいい1冊ではないかと思います。
個人の自由が行き着く先に
でも、そもそも少子化問題って何十年も前から言われてますよね。
それでも状況は改善するどころか少しずつ悪化している・・・。どんなに楽観的に考えてももう大きく上向くことはないでしょうね。
実際自分のことに照らし合わせてみると、私自身は3人子供を産んで、(出産前は多少不安はあったとは言え)やっぱり産んでみれば子供はかわいくてかわいくてしょうがない。子供のいるにぎやかな生活も張りがある。
もう今となっては「子のない人生」は想像できません。
それでも、自分の子に「将来絶対結婚して(結婚しなくても?)子供を成しなよ!!」と言えるかというと・・・。
まぁ言えませんよね(;’∀’)
だってやっぱり大変だもん。←オイ。
「子育て自体のしんどさ」とか「仕事との両立の難しさ」とか「高騰する教育費への不安」とか、そういう物理的な大変さももちろんあるんですけど・・・。
それよりも、日本という国の先の見えなさとか(この本読んでさらにそう思ったよね)、「正しくない」と徹底的に叩かれる社会的な息苦しさとか(芸能人だけでなく一般人もすーぐ炎上しちゃうもんね)、伸び伸びと希望を持って子育てできる環境じゃないんですよね。
私が子育てをしながら常に感じている漠然とした不安や肩身の狭さを、別に私の子供世代に敢えて負わせなくてもいいだろうと思うというか・・・。
そんなに大変な思いをしてまで子供を成さなくても、あなたはあなたの好きなように生きて行ったらいいがな。
ってやっぱり自分の子供には言いたくなっちゃうのです。
少子化により人口が減少していくことが喫緊の課題と分かっていても、各個人が自由に生きる権利がある今、「子供を持たない」という選択をする人が増えるのは必然な気がするんですよね。
個人の幸せを追求して自由に生きる。
という成熟した社会の行き着く先が少子化&人口減少というのはもう避けられないことで、それを踏まえてソフトランディングしていく道を探すしかないんでしょうね。
それが難しいんだけどな!!
この本の後半部分では、人口減少という危機的状況にある日本を救うための処方箋について書かれているのですが、やっぱり「人口を増やすためには?」という視点ではなく、「いかに戦略的に縮んでいくか」という観点での対策が主となっています。
その方向性はとても納得感が強く(まぁ個別に見ると「うーん?」という処方箋もありましたが)、政治家の皆さんには「さらなる成長」や「何とか現状維持」ではない、「縮む前提でどうしていくのか」を探ってほしいものだと思いました(他力本願な私・・・)。
続編も気になります
未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること (講談社現代新書) [ 河合 雅司 ]
より生活に即した影響について書かれているというこちらも読んでみたい1冊です。
(話ずれますが)私は「新書」というジャンルが結構好きで、自分で買ったりもするし図書館でもよく借りるのですが、あんまり周りで「新書好き」という人を見ないんですよね。
どういう人が読んでいるのか気になる今日この頃・・・。
以上、【未来の年表 人口減少日本でこれから起きること】読書感想でした!
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